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少女 |
「金泰九さんに今日、初めて出会った。70年以上も昔に日本に渡って来た在日朝鮮人で、ハンセン病患者だったという。でも、私にとっては関係のない遠い出来事だった。本の中の歴史だった。今の今まで」 |
岡山県にある日本で最初に開設されたハンセン病の国立療養所"長島愛生園"金泰九が発症し収容されたのは1952(昭和27年)。既に特効薬も開発され治癒する病気であったにもかかわらず、60年もの間、この小さな島で暮らし続けている。
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少女 |
「自殺の名所と呼ばれる所があった。断崖から100人以上が身を投げた。金さんは遺体の収容を手伝ったこともあると言った」 |
"愛生園"とは名ばかりの、患者を人間として扱わない隔離施設だった。子孫を残さないよう、男性には断種、女性が妊娠すれば中絶が行われた。反抗したり逃亡したりすれば、監房に拘束された。 |
少女 |
籠の鳥…。なのに、この島で暮らせてよかったという人も多いと聞いた。島の外なら、生きることはできなかっただろうとも…。そうさせたのは誰?今も、そう思わせているのは誰?偏見・差別・無関心…、それは私にも突きつけられている」 |
金泰九が、その波乱万丈な人生で掴んだ信条とは…
『正しく知り行動する』 そして
『人権を全てに優先して考える』 |
…ここに"未来の扉を開く鍵"がある。 |