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同和教育・人権啓発>ラストからはじまる
ビデオパッケージ
「ラストからはじまる」

2003年3月制作/53分作品
ライブラリー価格 16ミリ版/253,000円 (税込)
          DVD版/99,000円 (税込)
学校価格 DVD版/49,500円 (税込)

DVD:字幕あり
 
作品の内容
Scene1
Scene1

光一の世界

吃音に悩む土門光一(中3)は、今日も自宅のパソコンに向かっている。デジタルカメラで撮影した野良猫の写真をホームページで公開しているのだ。人との接触が苦手な光一にとって、そこは自由で饒舌な世界であった。

Scene2

3年A組

いつもスケボーに興じているクラスメイトの大八木和馬。吃音のことを冗談交じりにからかう和馬を、光一は好きになれない。  

Scene3

屋上での出会い

放課後の中庭で光一は女子生徒が落とした猫のマスコットを拾った。後を追ううちに、上がることが禁止されている屋上へ出た。「ここへくるとスカッとするの!」。C組の石橋友恵との始めての出会いだった。
Scene3
Scene4
Scene4

鉄塔のある街

路地の一角で野良猫を探していた光一は、不審者と間違えられる。上手く説明できない光一を救ったのは、出前帰りの友恵だった。友恵は、父母が営む食堂へ光一を連れていった。「デ・デ・デジタル、カ・カメラです」。これまで光一が言葉を発すると、いつもまわりの空気が凍りついた。しかし、ここでは違った。食品会社に勤める南田修司の「兄ちゃん、どもっとるがな」という屈託のない一言が返ってきただけだった。客たちは、大騒ぎしながら光一のカメラでお互いを撮りあった。
Scene5
写真部

週に一度のミーティング。顧問の山田教諭は、冬の写真展のテーマを光一たちに告げた。《いきいきとした人々》。アドバイザーとして出席したフランス人カメラマンのパトリスは、熱っぽく語った。「写真というのは、撮る人と撮られる人の関係まで写ってしまうものなんです」。光一には理解できなかったが、その言葉は強く印象に残った。

Scene6

身障者用の手づくりの靴

光一は、プリントした客たちの写真を手に 、再び鉄塔のある街を訪れた。枝肉をさばいていた修司は、写真を見て大仰に喜んだ。友恵の食堂では、和馬の祖父・辰造との出会いが待っていた。辰造は、食堂の裏手にある自宅へ光一を連れていった。軒先には〈手づくりの靴の店〉の看板があった。「もう60年やってんねん」。中には、身障者用の靴型が所狭しと並べられていた。
「靴型のことをワシらはラストというんや」そこへ老婦人:菊江と孫の慎吾(5才)がやってきた。不自由な慎吾の足を採寸し、「きっとええ靴作ったるからな。どこへでも行けるで」。絶えずやさしく語りかける辰造の様子を見て、光一は初めて"人を撮りたい"と感じていた。光一は、辰造の仕事をカメラで追った。 

Scene6
Scene7
Scene7

それぞれの心

登校中の光一の前に、和馬がいきなり現れた。「なんでじいちゃんを撮りに来たんや」。ただならぬ様子を見て、友恵が割って入った。放課後、3人の姿が屋上にあった。和馬は言った。「ムラのこと知らんでは済まんぞ。写真展には絶対出すなよ!!」。2人は本気で揉み合いとなった。友恵は叫んだ。「あんたら、憎いからケンカするの?悲しいからケンカするの?」。光一は、和馬と友恵が同和地区に暮らしていることを初めて知った。

Scene8
亡き母の靴型

和馬は、写真を撮らせた辰造を責めた。「カッコエエ言うてくれたんや、光一君は」。きょとんとする和馬に、辰造は12年前から始めた身障者用の靴作りについて語りだした。〈きっかけは、お前の母ちゃんや。嬉しそうな顔してたなぁ、あの時ほどこの仕事していて良かったと思ったことない」。和馬は、母の名が記された踵のない靴型を見つめつづけた。
Scene8
Scene9 Scene9
向い合う光一と和馬

光一「写真展に出すの、やめる」
和馬「なんでや?」
光一「大八木君の気持ちも考えた」
和馬「オレの気持ち?」
雨の中、光一は去っていった。

Scene10

終りなき始まり…ラストからはじまる

写真展前日、準備が進む校内に光一の姿はない。光一だけが出品していなかった。友恵からそれを聞いた和馬の気持ちは複雑だった。光一は辰造に写真を届けた。それを知った和馬は、光一の姿を追った。ムラに架かる橋の上に光一を見つけた和馬、「これも撮ってくれ!」と母のラストを差し出した。写真展当日。賑わいを見せる会場でひときわ目を引いたのは、辰造の写真と「ラスト」とタイトルの付けられた作品だった。首をひねる山田教諭、パトリスはただじっと見つめていた。屋上に、光一・和馬・友恵の姿があった。3人には、目の前に広がるパノラマの街が今までとは少し違って見えた。
Scene10

感 想 文

【行政関係者】

● 感動した。ムラで生きる人々の暮らしぶりを表面的なものでなく、人々の生き様や生きがい、つながりといった視点で捉えられる描き方がされており、共感を覚える。

● 見終わった後にさわやかな感じが残った。家族や地域、学校などで見せたい作品である。

● 結論めいたことを直接表現せずに、さりげなく語り合う中に問題提起があり、見る人の関心を引きつける。

● 吃音で悩む少年と同和地区で悩む少年・少女が描かれ、障害者問題と部落問題を併せ考えさせられる。大人たちとの人間関係が温かく、生きいきと表現されている。

● 同和地区の子ども達に見せたいと思う。ムラの温かさや生きている人達の仕事に対する誇りを感じさせたいし、今の自分の生き方に照らしてこの作品を見て欲しいと思う。この意味でも、今までにない作品だと感じる。

【学校教育関係者】

● 現在、人権総合学習の取組みの中で、その重点として「身近な人との出会い」を掲げ、地域の人々には子ども達にそんな出会いを提供していただけるよう働きかけているところですが、この作品はそんな教育の取り組みに大きな力を与えてくれます。

● 人としての心の問題、あるいは生き方がテーマとしてあり、観る人々の心を動かす作品だと思う。学校では、事前・事後指導を加えながら作品を利用できると感じた。

● 思春期にある中学生の微妙な心理描写と、それを取り巻く大人達の人間性がうまく表現されている。1時間弱の時間の中に多くのメッセージがあり、作品を見た視聴者の心に新しい何かが始まることを予感させる。

【一般市民】

● 吃音が「つらくてかわいそうなもの」としてではなく、だからといって軽いものではなく、等身大に描かれ、さわやかな、くさみのない人権映画として完成した。

● 何気なく子ども達や周囲の人々のやりとりの中に、考えさせられる要素がうまく取込めてある。暗くなりがちなこの種の作品だが、明るさ・元気さ・ユーモアがあって好ましい。

● 「わしのほんまの人生は、このラストからはじまったんかもしれん」。そう和馬に語った辰造の言葉が今も心に残っています。戦争・貧困・差別という悲惨で苦しい時代を、誇りを持ち続けて年齢を重ねてきたからこそ、あの温もりと強さがあるのでしょう。

● オリジナルとして作られた歌や音楽が心に響く。内容と実にマッチしていて、心地よく観ることができた。

● テレビで子どもと一緒に見ました。子どもにも大人にも訴える内容であり、何よりドラマとして感動がありました。誰かに今観たドラマのことを話したい、そんな気持ちです。

● 私はどもりですが、最初、国語の朗読の場面は学生時代を思い出し、胸が痛くなりました。でも、みんなが暖かく、面と向かって「どもってるやん」という。これはどもりを否定するのでなく、認めているからこそでした。実社会でもそうだったら、どんなに楽に生きられることでしょう。

● 一番感じやすい同年代の子どもたちが友情や地域とのかかわりを考え、まわりの見える子どもたちに育ってほしいと願っています。すばらしいドラマ、家族で観れたらいいですね。

【中学生】

● 人権を尊重し守ることは、差別を受けている人のためばかりでなく、自分自身のためにも必要なことだと思う。このドラマを観たことが人権問題を改めて考えるきっかけとなり、図書館の人権コーナーで、部落問題や障害者の問題、黒人問題などを調べ始めた。

● 和馬は最初はやんちゃだと思ったが、とてもいい子だった。光一は和馬や和馬のおじいちゃん、友恵、修二さんと出会えてよかった。初めは光一は「ムラ」のことがよくわからなかったが、僕もそうだった。このドラマを観て、絶対差別をしてはいけないと思った。

● この映画の主人公はみんな中学生なので分かりやすかったですが、恋人どうしが差別のせいで自殺するという話があり衝撃的でした。みんな同じ人間です。

● 悩みや苦しみは人それぞれ違うし、理解しあうことも難しい。しかし、この作品を見て、人を受け入れることで自分が初めてその人に受け入れられるものだということがわかった。一人ひとりがそう心がければ差別のない社会になるのではないでしょうか。

● 光一君が辰造さんの仕事風景を写真に撮りたいと思った気持ちも、和馬君がそれを怒った気持ちも痛いぐらい伝わってきました。そして「写真展には出さない」といった光一君の言葉が強く胸を打ちました。このドラマの続きは、それぞれが描くものなのでしょう。

【小学生】

● 差別はなぜあるのか、差別をされる人の悲しみやつらさはどんなものか、ぼくにはわからない事があります。でも、友恵さんや和馬君とおじいちゃん、光一君のいる町や人々が好きになりました。

● 話を見ていて、ラストというのはくつのかたのことを言うんだなぁということがわかりました。とちゅうで泣いてしまいました。よくわかるおもしろい話でした。

● 和馬君のおじいさんは、一人一人の足に合うラストを作り、仕事を続けている。その姿がかっこいいと光一君がいいましたが、ぼくもそう思いました。まっすぐ人を見つめると、人のすばらしさは伝わってくるのだと思いました。

● 和馬くんが写真てんにたつぞうおじいさんの写真がだせるか、とてもしんぱいしましたが、最後には和馬くんが写真をだしてもいいといってくれた。そしてお母さんの「ラスト」の写真をとってといっていた。わたしは子どもや大人がいっしょになかよくすることが一番いいことだと思います。

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